【適切なケアマネジメント手法の手引き】を使ってニーズを引き出す方法を解説!
ケアマネ業務の中でニーズが把握できればスムーズに支援ができるのにと考えたり、プランがスムーズに作れるのにと思うことは多いと思います。
そもそも、利用者のアセスメントの際にもう少し深く聞き取れればいい計画作れるのに。と思うことも多くあります。
そういった時にマニュアル化してあればやりやすいですよね。
2021年に厚生労働省が作成した【適切なケアマネジメント手法の手引き】(通称「適ケア」)がアセスメントやニーズ把握のためのマニュアルの様な位置づけになっています。
- 【適切なケアマネジメント手法の手引き】の要点を解説
- 利用者のニーズを把握することに注目して使い方を解説
この記事を読むことで今より少し、利用者のニーズを深く知ることができるようになると思います。
【適切なケアマネジメント手法の手引き】の目的
適切なケアマネジメント手法の手引きは今までのケアマネジメントにちょっと問題があるかなといった視点で作られました。
その問題点を解決するために厚労省が試行錯誤して作ったものになります。
【適ケア】が作られた背景
適切なケアマネジメント手法の手引きが作られた背景があります。
ここではその背景をわかりやすくまとめました。
- 今までのケアマネが培ってきた知識を皆で共有するため
- 経験の浅いケアマネでも、利用者が必要とするケアマネジメントを一定以上の水準で提供できるようにするため
- 利用者やその家族の生活を支える上で解決すべき課題を漏れなく捉えるための視点を持つため
- サービスを組む際にサービスの必要性を検証できるようにするため
【適ケア】の作られた目的
作られた背景がわかればその目的もあります。
作られた背景では課題が出ているのでそれを解決することが目的ですね。
ここでは目的を簡単にまとめました。
- ケアマネジメントの質を一定以上の水準に保つこと
- ケアマネジャーごとのケアマネジメントの質のばらつきを改善すること
- 利用者の尊厳を保持し、生活の継続を支えるケアマネジメントの実践をできるようにする
- ケアマネ以外も共通の視点を持って、支援の必要性を検討できるようにすること
→【適ケア】はケアマネだけのために作ったわけでは無いです。
まとめると、すごくできるケアマネとまだまだヒヨッコのケアマネの差が問題視されていました。
実際に差が出ることは仕方のないことですが、その差を少しでも減らしていくことができるようにと作られました。
【適切なケアマネジメント手法の手引き】に書いてあること
マネジメント構造
- 「基本ケア」と「疾患別ケア」の2階建て構造になっています。
2階建て構造というのは
- 1階部分の「基本ケア」は全員に当てはまる
- 2階部分の「疾患別ケア」は必要な人に当てはまる
2段階の構造で作られています。この内容を網羅すればある程度のアセスメント項目も埋まりますよ。
【適ケア】の目的
【適ケア】の目的は、介護支援専門員の経験や技能に関わらず、一定水準以上のケアマネジメントを提供できるようにすることです。
目的から、これを作ったのはケアマネの質を底上げしたい思惑が見て取れますね。
基本的な考え方
“あたり”をつけて効率よく個別化を行う
限られた情報から支援の必要性や確認すべき事項の“あたり”をつけ、効率的に個別化を進めます。
「基本ケア」と「疾患別ケア」の組み合わせ
「基本ケア」は高齢者の機能と生理を踏まえた、全員に共通するケアです。
「疾患別ケア」は特定の疾患に特有の視点や支援内容を評価する項目です。
支援内容とアセスメント/モニタリング項目の連携
【適ケア】を使用すれば、想定される支援内容、支援の必要性がわかりやすくなります。
アセスメントやモニタリング項目をわかりやすく整理できます。
ニーズを引き出すために【適切なケアマネジメント手法の手引き】の利用方法
基本ケアと疾患別ケアの理解
基本ケアの確認
まず、すべての利用者に共通する支援内容を「基本ケア」から確認します。
これは手引き23ページです。
ここに記載されているケアの内容を確認していきます。
この基本ケアが支援の土台になります。
手引きに沿って聞き取りすることで漏れがなくなりますね。
この24項目が「基本ケア」の項目です。
疾患別ケアの確認
基本ケア同様、利用者の疾患に応じた「疾患別ケア」を参照します。
例えば、脳血管疾患の場合
脳血管疾患の場合は時期でそれぞれ7項目の確認する項目があります。
これを確認すればある程度の必要な支援がわかるようになります。
- 脳血管疾患
- 大腿骨頸部骨折
- 心疾患
- 認知症
- 誤嚥性肺炎予防のためのケア
それぞれの利用者の疾患に合わせたケアを行えるように作られています。
組み合わせの実践
【基本ケア】【疾患別ケア】の情報を網羅できたら2つを組み合わせることで利用者に必要な支援計画を立てます
- まず、基本的な生活支援(基本ケア)の計画を立案
- 次に疾患特有のニーズへの対応(疾患別ケア)の計画の立案
- 個別的な感情や思いなどの聞き取りからの支援計画の立案
それぞれに必要な支援計画を作ります。これで支援計画を整理します。
基本的な生活支援と疾患特有のケアを組み合わせることで、利用者の大まかなニーズに対応した支援計画を立てることができます。
これで大きな方向ができますよ。
【適ケア】の内容を聞き取るだけである程度の大まかなニーズが抽出できます。
その後には、個別的な思いや感情などの部分はしっかりアプローチしてください。
ある程度は完成している【適ケア】の項目に感情などの要素を加えることがその人らしいプランの鍵となりますね。
ここまでで、ある程度のニーズ把握ができ、ケアプランに使うための情報がある程度網羅されていると思います。
プランを組んで行っても大丈夫なくらいの情報はあるはずです。
プランが動けばモニタリングをしていく事となります。
支援が動き出したら関係事業所などと情報を共有しながらアセスメントしていく事が重要です。
再アセスメントの時にも「適ケア」は使えますので利用してみてください。
まとめ
現在、現場では「適ケア」はあまり活用されていないのが現実です。
しかし、うまく活用することである程度の質を担保できるツールです。
慣れてくれば、「適ケア」を使うことの必要性は薄くなってきます。しかし、経験を積んでいくまではしっかりと利用できる価値があります。
初任段階から考え方を理解して支援すると成長も早いですよ。
今後の業務がすごくスムーズになりますね。
しっかりと使い方を理解して、うまく使うことで「ニーズを汲み取る力」も向上します。
ニーズを把握できない、苦手だと悩む前に、「適ケア」を利用して悩みを解決できるようにしてみてください。
ぜひ、面談技術の向上のために学習することも視野に入れてみてください。
【適切なケアマネジメント手法の手引き】と【面談技術】を使いこなせることで世界が広がったように感じられるようになりますよ。