ケアマネが悩むニーズの把握。ケアプランに使える面談技術を具体的に解説
ケアマネ業務でのニーズを把握することって難しいですよね。
ここで何度もつまづき、プランが書けない。時間をたくさん使ってしまう。
こんな悩みは全国のケアマネジャーあるあるだと思います。
ニーズを引き出す事ができれば様々なことがうまくいきます。
- プランの作成がスムーズにできる
- 説得力のあるプランが作れる
- 利用者や家族の理解が得られやすい
- 適切な支援に結びつく
ほんの一部ですがメリットは大きく、業務の負担も軽減できます。
この記事ではニーズの引き出し方を具体的に解説して、実務に使うことができるようにしています。
相談援助技術をたくさん解説していますのでひとつづつ理解しながら実務に活かしてほしいと思います。
特にケアマネであれば面談技術を向上させることで今後の支援がスムーズになりますよ。
今後の業務効率化のためにもぜひこの記事を読んで今後の支援に活かしてください。
- 信頼関係構築のための技術
- 質問の技術
- 事前準備の重要性
- 本人のニーズ把握のための視点
- 環境の課題を抽出するための視点
ケアマネ面談時の技術
信頼関係の構築のための面談技術
傾聴
利用者が話す内容を丁寧に聞き、適切なタイミングで相槌を打つことで、相手に「話をしっかりと聞いてもらっている」と感じてもらえます。
これだけだけで話がどんどん出てくる方もいらっしゃいます。
基本にして超大切な技術です。
話をしっかり聞いてもらえていると感じてもらうことがすごく大切です。
話を聞いてもらえる人に自分の思っていることを話したくなりますよね。
非言語コミュニケーション
非言語コミュニケーションが大事なのはなぜか。
メラビアンの法則によるコミュニケーションにおける情報伝達の割合です。
- 視覚情報 (表情、ジェスチャーなど): 55%
- 聴覚情報 (声のトーン、話す速さなど): 38%
- 言語情報 (話の内容): 7%
言葉の情報伝達はわずか7%とされています。いかに非言語コミュニケーションが重要かわかります。
- 自分の表情を柔らかくする
- 簡単なジェスチャーなどを使う
- 声のトーンを高めに
- 話す速度を落とす
非言語を意識し、話しやすい雰囲気を作ることも重要なポイントです。
自己開示
適度な自己開示は、相手に親しみやすさを感じさせます。
ただし、話題は利用者のニーズや感情に焦点を合わせ、自分の話はあくまで補足的にすることが大切です。
自己開示は警戒心が和らぐと言われています。適切な距離を保ち自己開示することで関係の構築ができますよ。
自己開示の一例です。
最近、なにかお困りのことなどはありませんか?
特に何もなくいつも通り過ごしていますよ。
あまり困ることもないですね。
それは良かったです。
私は最近少し膝を痛めてしまって階段が辛くなってしまいました。
膝を痛めると普段の生活が少し不便になりますね。
膝がいたいと大変ですよね。
私も膝が普段から痛くて段差を上がるのに一苦労します。
時間をかける
時間をかけることは良いことが多いです。メリットを紹介します。
- 信頼関係が構築しやすい
- 相手のペースで話してもらえるので安心感がある
- 問題の本質を探れる可能性が高まる
- 表面の問題以外にも気がつく
- 利用者が自らの課題に気がつける
このメリットを意識しながら相談を受けることでより深い信頼関係が構築できます。
時間をかけて相談を受けることで傾聴をしっかりできます。
しっかりと信頼関係を構築できますので最初の相談などは十分に時間を取るとその後がスムーズに進みますよ。
共通の目標を明確にする
利用者が自身のニーズや課題について話しやすくなるよう、一緒に解決策を見つけるパートナーであることを伝えましょう。
支援者であることを理解してもらい、一緒に困っていることを解決するパートナーであることを理解してもらえると話をしてもらえるようになりますよ。
信頼関係が深まると、ニーズの把握もしやすくなります。
面談時に使える上手な質問の技術
上手な質問をするためには、相手が自由に話せるようにしつつ、ニーズを引き出すような質問の仕方が大切です。
具体的な方法を紹介していますのでぜひ参考にしてください。
オープンクエスチョン
オープンクエスチョンとは「はい」や「いいえ」で答えられる質問ではなく、詳細な答えを引き出せる質問をします。
- 最近、どのようなことでお困りですか?
- 日常生活で改善したいと思っていることは何ですか?
オープンクエスチョンは開かれた質問とも言われます。
答えが無数にあり、自由な回答が得られることが利点です。
クローズドクエスチョン
クローズドクエスチョンは「はい」や「いいえ」で答えられる質問のことを言います。
その他にも「ご飯とパンはどちらが好きですか?」など、答えが絞られる質問もクローズドクエスチョンと言います。
クローズドクエスチョンは閉ざされた質問とも言われます。
こればかりで質問していると何だか責められているような気がしてくると感じる方もいます。
フォローアップ質問
質問して出てきた答えにさらに質問をしていきます。
- それはどんな時に感じますか?
- 具体的にどんなサポートがあれば解決できそうですか?
このように質問から出てきた答えにさらに質問を投げかけてニーズを引き出していきましょう。
沈黙の活用
質問内容が深くなるにつれて相手は考える時間が必要になります。
急かすようにするのではなく、沈黙をしっかり活用していけるように意識しましょう。
沈黙は相手が考える時間を待つことが重要です。
しかし、相手もたくさん考えて答えを出しますので辛い気持ちになったり疲れます。
一回では聞ききれないのである程度で切り上げることも重要です。
感情に触れる質問
質問の中で「困っていること」「解決すべきこと」に焦点が当たりがちです。
利用者がどのように感じているかを聞くことは、ニーズを理解するために重要です。
- 「その時、どんな気持ちでしたか?」
- 「今の生活で最もストレスを感じることは何ですか?」
感情に触れる質問を取り入れることで相手の感情に共感することができます。
相手の言葉を繰り返す(パラフレーズ)
利用者が言ったことを別の言葉で繰り返し確認することで、相手に「しっかり理解してもらっている」と感じてもらえます。また、相手も自分の考えを整理しやすくなります。
- (相手の言葉を要約して)それはこう言ったことですね。
- (相手が話した苦労話に対して)大変だったんですね。
相手の話を聞いて要約や繰り返しをすることでさらに話をしてくれるようになりますよ。
ケアマネ面談の事前準備
聞き取りの事前準備は、利用者のニーズを的確に引き出すために非常に重要です。
事前情報の把握ができるのであればぜひ活用しましょう。
具体的な事前情報の活用方法を紹介しています。
活用できる部分を使って効果的な聞き取りができるようにしてください。
面談の目的を明確にする
何を聞き出したいのか、目的をはっきりさせます。
最初に面談の目的をしっかり伝えましょう。話をスムーズにできる効果があります。
- 現在の生活の困りごと
- 生活の質を向上するための必要な検討
など、面談の目的を明確にすることで話のゴールが作りやすくなります。
環境設定
面談の際の環境も事前に整えておきましょう。
可能であれば静かな場所やリラックスできる空間を選び、相手が安心して話せる状況を作ることが大切です。
ケアマネは相手の家に行くことが多いと思います。
その場でできる席の位置も工夫してみてください。
質問の順序を計画
質問をどの順序で行うかを計画することで、面談がスムーズに進みます。
最初に簡単な質問から始め、徐々に深い質問へと移行することで、利用者が話しやすい雰囲気を作りやすくなります。
質問すべきポイントは【適切なケアマネジメント手法の手引き】に掲載されています。
ケアマネがニーズ把握するための多角的な視点
多角的な視点で利用者のニーズを引き出すためには、複数の側面からアプローチすることが重要です。
ここでは多角的な視点を持ってニーズを把握することができるように具体例をあげながら解説しています。
客観視や広い視点は実務の経験から得られることも多いです。
しかし、概要を知っていることで早く技術を得られる近道になります。
本人自身のニーズ把握
本人の状態に関わるニーズを把握していきます。
これは本人も理解していることも多く、本人に聞き取りをすることが重要となります。
身体的・健康的なニーズを把握する
健康状態や身体の機能に焦点を当てた質問を行い、身体的なニーズを確認します。
具体的な声掛けは以下に紹介しています。
- 「最近、体調や健康で気になることはありますか?」
- 「日常生活の中で、どの動作が一番難しいと感じますか?」
心理的・感情的なニーズを掘り下げる
利用者の心理的な不安やストレスについても深く聞き出すことが大切です。
感情に焦点を当てることで、隠れたニーズが見えてきます。
- 「最近、どのようなことが不安に感じられますか?」
- 「何か心配事やストレスに感じていることはありますか?」
感情を言語化できる方は少ないです。面談の技術を使いながらゆっくりと答えを出してもらえるようにしましょう。
環境面からのニーズ把握
社会的なつながりに対するニーズを探る
利用者が孤立していないか、社会的なサポートを十分に受けているかも確認します。
家族や友人、地域とのつながりについて聞き、社会的なサポートの必要性を理解します。
- 「家族や友人とのコミュニケーションはどのように取っていますか?」
- 「地域のイベントや集まりには参加していますか?」
社会参加の機会を持てているかを確認することは生きがいなどに直結します。
すごく重要な視点ですので聞き取りしてくださいね。
経済的なニーズを確認する
経済的な負担や、生活費や医療費の支払いが負担になっていないか確認します。
経済的な状況がサービスの選択に影響を与えることもあります。
- 「日常生活での支出について、何か心配なことはありますか?」
- 「経済的な面でのサポートが必要だと感じていますか?」
経済的な不安があることでサービスを受けない選択をする方もいます。
経済状況は話しにくいことですが、情報を得る必要性が高い場合も多いです。
ケアマネの面談技術のまとめ
ニーズの把握をスムーズにするための説明をしました。
この記事の中で重要なポイントを紹介します。
- 信頼関係構築のための技術
- 質問の技術
- 事前準備の重要性
- 本人のニーズ把握のための視点
- 環境の課題を抽出するための視点
これらを一朝一夕に獲得することは難しいと思いますが、少しづつ意識して業務に取り組むことで面談等の技術が向上します。
明日から業務の際に面談技術を一つでも意識してみてください。
日々の積み重ねで大きな進歩が見えていると思いますよ。
面談や相談援助の技術を学ぶには資格取得を一番お勧めします。
【社会福祉士】の国家資格の取得を目指してみてください。